ひつじ大学 地域文化講演会(九月の予定)


 
ひつじ大学地域文化講演会のご案内
皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、このたびひつじ大学地域文化講演会を下記日程で開催することとなりましたので
ご案内申し上げます。ご多用中とは存じますが、是非ともご出席を賜りますよう
お願い申し上げます。


1.日時  2019年9月21日(土)
受付:午後1時 講演:午後2時〜午後3時30分 
2.場所  吉井文化会館小ホール
3.住所  〒370-2132 群馬県高崎市吉井町吉井285−2
4.講演者 ひつじ大学学長(理事長)佐藤 喜久一郎
5.テーマ 「小幡氏の再興―三碑と上野国の宗教者コミュニティー
6. お問い合わせ先 
    吉井文化会館 電話 027-387-3211
    メール(ひつじ大学) rakura4@gmail.com





 報告の趣旨
  ユネスコ「世界の記憶」(国際登録)申請書の[羊太夫伝承]の項には以下の記述がある。
「こうした口承伝説の存在は、地域形成の記憶を伝える多胡碑が長い年月に渡って地域の人々の社会的・精神的結びつきとしての役割を果たし、人々の信仰の対象となっていたことを物語る。そして、それによって形成されたコミュニティーが、長きにわたって碑を守り伝える原動力となっていたことを窺わせるものである」。
信仰などを紐帯として作られた「地域の人々」のコミュニティーが「地域形成の記憶」の受け皿となり、そこで物語が記憶され伝えられることで多胡碑が守られた、という趣旨なのだが、この「コミュニティー」の歴史について具体的な研究は少ない。在地の神職、修験者、僧侶などが石碑の管理に関わった事実は知られているものの、組織の全容や歴史的変化については未解明の部分が多いのである。また、彼らの活動が現代まで続いていることも、世間にはあまり知られていないようだ。
ひつじ大学では、以上のような状況を鑑み、本報告において、過去の遺産を守る宗教者コミュニティーの歴史を詳しく検討し発表することにする。
具体的には、報告者が2019年6月に実施した上野国一宮大宮司家(小幡家)の史料調査の成果をもとにして、神社文書から宗教者の世界観や歴史観をさぐり、彼らと、彼らを取り巻く村人の活動によって「共同体的記憶」=「地域史」がどのように作り出されたか考えてゆく。
宗教者たちはどのような組織を作り、どのような方法で過去の遺産を守ろうとしたか、そして近現代以降も、多胡碑の国有化、一宮の官社化といった危機のなかで、彼らはどのような方法で自らのやり方を貫こうとしたのか。従来検討されることの少なかったテーマを新史料に基づき考察する。

主な内容
はじめに…地域の伝統は誰が担うか
1、三碑が重視された理由
2、一宮の再建と「歴史」の再構築(近世初期)
3、石碑管理権をめぐる闘争(近世〜近代)
4、小幡氏と国の対立(近現代)
5、小幡氏の再興(近現代)
おわりに…対立を乗り越えて