旅の道連れ

急な江戸ブームがやってきて、
ことのところ毎日、いろいろな名所図絵や随筆などを開いて調べものをしたり
なにかしら地図に書き込んだりしている。

古書店で手に入るものは、大急ぎで集めた。
あるセットものの本は前の持ち主が大事にしていたもののようで
一冊、一冊に和紙で作った手作りのカバーが掛かっている。
一番後ろには繊細な字で、「41年末に求め、42、1、2新潟より仙台の車中にて読む」

最近はネットで本を買う様になったから、
いろいろな履歴をもつ本が手軽に手にはいる。

活字本は和本と違ってそう歴史はないが、
時代がそう前でないぶんだけまだ温もりが残っているようで、
遠さと近さの不思議な感じを覚える。

また別の本には、
「昭和四年十二月四日 思い出多きこの日に、日頃望めるこの書を求む」
この日の旅の楽しい出来事が詳しく書いてある。


たくさんの仲間に囲まれて賑やかに旅をしているようだ。

「風景やみんなといっしょに. せはしくせはしく明滅しながら」
宮沢賢治春と修羅 序』